杉沢を流れる中田春木川と、外沢川の合流点東部にある中田地区。真室川町及位と結ぶ主寝坂峠の玄関口で、かつては羽州街道の宿場町でした。秋田・津軽などの諸大名が参勤交代の際に利用したそうで、宿屋が2軒、専用の馬舎が1軒あったとか。現在の世帯数は上・下中田地区合わせて58戸、杉沢地区は15戸(平成15年度調べ)、中田小学校には約30名の子供たちが通っています。

八幡神社には、幹周4.71m・樹高30mをはじめとする巨木が威容を誇っています。

 現在、地区内にある八幡神社の氏子総代を務めているのが、代々この土地に暮らしている高橋義三郎さん。ご先祖には宿場町としての門番役などもおり、町の人には屋号の孫左右衛門から「そんぜぇもん」と呼ばれています。地区内の決め事で迷った時は、「そんぜぇもんの親父さんに聞いてみるべ」と言われるほどです。
 以前は家畜商を営んでおり、数々のチャンピオン牛を誕生させた実力者。その時々の賞金などを、感謝を込めて、境内の狛犬、畳みの張り替え、銅葺き屋根、白い垂れ幕、注連縄購入へ投じてきました。その他、日々の管理や9月15日に行われる例祭の準備などが、総代としての仕事だそうです。

「カモシカの毛は、長くてあったかかったです」と高橋さん。

 高橋さんは、5年前から境内周辺の早朝の散歩を日課にしているとのこと。「散歩を始めたばかりのある日、カモシカを見つけてね。じっとこっちを見ているんです。それからは毎日、私が行く時間に同じ場所で待っていてくれるようになって。1度だけ、背中をなでたこともありました」。今年になって姿を見せなくなってしまったと残念そう。これも、自然と共生する金山町、中田地区ならではのエピソードといえるでしょう。


●藁・スゲ細工・さしこ教室
(通年可・要予約10名まで)
◎半日コース
 所要時間/午前9時〜午前11時30分
 体験料金/500円+材料費(実費)
◎1日コース
 所要時間/午前9時〜午後3時30分
 体験料金/1、000円+材料費(実費)
 ※ほかに川遊び(7月〜8月)、冬の山遊びもあります。
◎お問い合せ/
TEL:0233・52・3437

 

 『生活資料館』の看板を掲げた民家の玄関へ入ると、さっそく目に飛び込んでくるのが、ぎっしり並べられた昔の日用品。「はい、あがってあがって」と促され、客間(展示ルーム?)へ入って、またまた圧倒。この日は旧の節句の時期とあって、天井まで届く古代雛の雛壇が2つと、さまざまな人形を飾った棚が飾ってありました。「1ヶ月かけて並べるんだ」と梅吉さん。この数ですから、それも納得。一番上の段には、ひときわ目を引く大きなお内裏様とお雛様。「ほかにないような、でっかな人形を作るべって、おっかと2人でこさえたんだよ」。
 夫婦揃って手工芸はお手のもの。梅吉さんは藁やスゲ細工、奥さんのツネエさんはさしこ教室を開いているのです。休日ともなると、小学生から大学生、大人まで、各地から体験の申し込みが入ります。以前は田んぼ仕事と木炭作りのほか、馬のわら靴やわらじを何百足も作って売っていたそうですが、今はもっぱら資料館と教室の運営で忙しい毎日。この日着ているのはツネエさんが作った半てんで、なんとリバーシブル仕様。そのうえ梅吉さんの注文で、背中に浮世絵風の絵が縫いつけられているではないですか。「うちの人は、ちょっと変わってるんだな」と、ツネエさんが笑いながらつぶやいていました。


※お雛様の展示は4月3日からGWまで。その後は昔の教科書などが並びます。


30年前に作ったという私用のカゴ。山ブドウの皮は水に濡れても丈夫で、使い込むほどにいい色艶が出てくるそう。

●ツル細工と金山杉の木工
(通年可・要予約)
◎半日コース
 所要時間/午前9時〜午前11時30分
 体験料金/500円+材料費(実費)
◎1日コース
 所要時間/午前9時〜午後3時30分
 体験料金/1、000円+材料費(実費)
◎お問い合わせ/
TEL:0233・52・3532

 

 暮らしの中の必需品として作られてきたツル細工や、金山杉を使った木工品の体験教室を行っている栗田さん。もともとは「はけご」と呼ばれる、収穫した野菜などを入れる腰カゴを作っていたそうですが、ある日娘さんが、取っ手を付けた小さなカゴを持って出掛けたところ、とても評判になって注文を受けるようになったとか。ツルの素材は山ブドウの木の皮。6月中旬頃から7月下旬までの間、時間を見つけては弁当を持って山へ出掛けます。適度な太さ、長さの落木を探しだしては、皮を剥いで持ち帰りますが、約一月の間に確保できるのは作品にして50個分ほど。体験希望者や注文が入れば、あっという間になくなってしまいます。貴重な材料であるのはもちろん、編み始める前の準備がまたたいへん。「水に浸けて、よく乾かして、おんなじ幅に切り揃えた皮を作るのが一番の苦労だなぁ」。そんなお話をうかがっている途中、ツル細工を趣味にしているらしい人が偶然立ち寄り、「こんなに細い幅で編むなんて、実に丁寧ですね」と感心しながら眺めていました。
 栗田さんのもう一つの技が木工です。細い階段を上がり、まるで秘密の隠れ家を見せるように案内してくれた作業場には、若い頃材木の切り出しに使ったという巨大ノコギリが掛けてあり、高く積まれた木材の山と、花台や机などの品々。時間がある日は、いつも工作をして「遊んでいる」のだそうです。

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