有屋峠物語
ふれあいの森を鉤掛森に向かう道幅3mの「有屋峠街道」

有屋峠物語
鉤掛森から檜木森へ向かう

有屋峠物語

古道ロマンを活かした両県の交流と地域の活性化

 有屋地域では、3年ほど前から地域の活性化に繋げる活動として、通称「有屋宝物探し」と題した有形無形の宝物を掘り起こそうという試みを行っています。その1つとして注目されているのが、有屋地域に伝わる古の路を探索し、神室の自然と地域の歴史文化を探る「有屋峠物語」の活動です。平成19年(2007)から始められ、古くは奈良時代までさかのぼる山形と秋田を跨ぐ宮道として開かれた古道を調べ、両県の交流にも結びつけていこうとするものです。
 現在の国道13号線であり、主寝坂峠・雄勝峠(杉峠)を越えて院内に向かう羽州街道が開かれる以前、役内と有屋を結ぶ中世以前の「有屋峠」は、神室ダムに注ぐ黒森沢川に沿って、水晶森と黒森のほぼ中間の鞍部を抜けるルートがこれまでの通説になっていました。
 ところが、地元に語り継がれる道は、それとは違っていたのです。それが、入有屋から鉤掛森~檜木森~黒森を越えて役内に至るルートです。


自然あふれる金山町のリゾートエリアとして発展

 秋田県側、雄勝地方の役内に残る番楽には「有屋の沢から獅子持って(神室山から)下った」という一節が口上にあり、囃子のリズムや舞いなど類似点、共通点も多く、修験者または人々の交流により有屋の番楽が役内に伝わったといういわれがあります。
 また、いくつかの史料や文献には、馬が通れる道であったことをうかがい知る記述が見られますが、通説のルートでは勾配が厳しく馬足で越えるのは不可能。さらに、古代の峠道のほとんどは、見通しが利いて安全な尾根道であることなどから、実際に使われたもう1つの「有屋峠」の存在がクローズアップされてきました。
 そこで、今回も詳しいお話しをうかがった「有屋峠街道探索会」の矢野光夫さん、笹原忠昭さんを中心として、平成19年(2007)にその一部を、平成20年(2008)には役内までの全ルートを踏破しました。その結果、今では全く使われなくなった道で草刈りなどがされていないにもかかわらず、街道幅3mほどの道が長く連続して残り、馬が歩くための大きなカーブも随所に存在するなど、はっきりした道形が確認できたのです。
 この探索の成果を受け、将来的には地形図上に街道を再現できるよう努めると同時に、道筋と一部重なる「ふれあいの森」の散策道の活用や、山形県遊学の森主催の「平安古道トレッキング」など、具体的な取り組みも活発化しています。

遊学の森プログラム「有屋峠物語」