○金山町の風景と調和した街並み景観条例

昭和61年3月18日

条例第2号

“険しい尾根を越えて非常に美しい風変りな盆地に入つた。ピラミッド型の杉の林で覆われ、その麓に金山の町がある。ロマンチックな雰囲気の場所である。私はここ2、3日ここに滞在したいと思う……” (明治11年7月)

――イサベラ・バード女史(英国地理学会特別会員)の「日本奥地紀行」の一節より――

わたしたちの町金山は、羽州街道沿いに開けた宿場町で、白壁造の土蔵、住いが周囲の山々の緑に映える落ちついた街並みはバード女史が訪れて一世紀過ぎた今もあまり変わりなく“常緑杉山四方にめぐらして光静けき水清き町”を形づくつている。

わたしたち町民は、この町民の共有する貴重な財産である金山らしい街並みや自然を保ち、さらにつくり上げて後世に引き継ぐことがわたしたちに課せられた重大な責務と考える。しかし、近年必ずしも町の風土、環境になじまない家並みが目立ちはじめる等、ふるさとのよさが失われつつある。

いまこそ、わたしたちは、先人が伝えてくれた金山らしい文化、自然を生かし、地域経済の活性化を促しながら、金山の産材、金山職人の技術、金山町民が独自に創り上げた外観と内部の仕上げに特徴を持つ「金山住宅」を柱に、金山町の風景と調和した街並み景観づくりを進めていかなければならない。

わたしたち町民は、英知と総意を結集し、永遠に居住するこの金山町を、より美しく誇り高い郷土につくり上げることを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は金山町の風景と調和した個性豊かな街並み、自然の美観の維持及び増進並びに新しい街並み景観の形成に関する必要な事項を定め、もつてわたしたちが自らの手でより快適で誇り高い郷土につくり上げることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 街並み景観の形成 金山らしい優れた街並み景観を保ち、さらにつくり上げることをいう。

(2) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物及び建築物以外の工作物で別に定めるものをいう。

(3) 町民及び事業者等 町民及びその他の施主又は施行、設計を業として行う者をいう。

(町の責務)

第3条 町は、この条例の目的を達成するための基本的かつ総合的な施策を策定するよう努めるとともに、これを実施しなければならない。

2 町は、前項の施策の策定及びその実施に当たつては、町民及び事業者等(以下「町民等」という。)の意見が十分反映されるよう努めるものとする。

3 町は、公共事業等の施行に際し、街並み景観の形成に先導的役割を果たすよう十分配慮する。

4 町は、町民等が街並み景観の形成に寄与することができるよう街並み景観の形成に関する調査、研究、知識の普及、啓発を図る等の必要な措置を講じなければならない。

(町民等の責務)

第4条 町民等は、自ら進んで街並み景観の形成に寄与するよう努めるとともに、街並み景観の形成に関する町の施策に協力するよう努めるものとする。

2 町民等は、街並み景観の形成に寄与するため相互に協力するものとする。

(指定)

第5条 町長は、街並み景観の形成を図るために必要な地域を街並み景観形成地域及び街並み景観形成特定地区として指定するものとする。

2 街並み景観形成地域は、次の各号の1に該当する地域について指定するものとする。

(1) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第5条第1項の規定により指定された金山町都市計画区域

(2) その他町長が街並み景観の形成のために必要と認める地域

3 街並み景観形成特定地区は、次の各号の1に該当する地区について指定することができる。

(1) 前項各号に規定する地域内で、特に景観の保全、創造及び修復の必要がある地区

(2) その他町長が街並み景観の形成のために必要と認める地区

4 町長は、街並み景観形成地域及び街並み景観形成特定地区を指定しようとするときは、あらかじめ金山町街並み景観審議会の意見を聴かなければならない。

5 町長は、街並み景観形成地域及び街並み景観形成特定地区を指定したときは、これを告示しなければならない。

6 前2項の規定は、街並み景観形成地域及び街並み景観形成特定地区を変更する場合について準用する。

(街並み景観形成基準)

第6条 町長は、街並み景観形成地域及び街並み景観形成特定地区を指定したときは、当該街並み景観形成地域及び街並み景観形成特定地区ごとに街並み景観の形成のための基準(以下「街並み景観形成基準」という。)を定めるものとする。

2 街並み景観形成基準は、次に掲げる事項のうち必要なものについて定めるものとする。

(1) 建築物等の規模及び敷地内における位置形態

(2) 建築物等の意匠、色彩及び素材

(3) 建築物等の1階部分及び屋上の形態

(4) 敷地の緑化措置

(5) その他街並み景観の形成のために町長が必要と認める事項

3 前条第4項及び第5項の規定は、街並み景観形成基準を定め、又は変更した場合について準用する。

(行為の届出等)

第7条 街並み景観形成地域及び街並み景観形成特定地区において、次の号に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめその内容を町長に届け出なければならない。

(1) 建築物等の新築、増築又は改築

(2) 建築物等の外観の大規模の模様替又は色彩の変更

(3) 宅地の造成及びその他の土地の形質の変更

(4) その他街並み景観の形成に影響を及ぼすおそれのある行為で規則で定めるもの

2 前項の規定は、次の各号に掲げる行為については適用しない。

(1) 規則で定める通常の管理行為又は軽易な行為

(2) 国、地方公共団体その他規則で定める公共団体が行う行為

(3) その他町長が認める行為

(街並み景観形成基準の遵守)

第8条 前条第1項各号に規定する行為をしようとする者は、当該行為が街並み景観形成基準に適合するよう努めるものとする。

(街並み景観形成基準に基づく助言及び指導)

第9条 町長は、第7条第1項の規定による届出があつた場合においては当該届出をした者に対し、街並み景観形成基準に基づき必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。

2 町長は、前項の規定により助言し、又は指導する場合においては金山町街並み景観審議会の意見を聴くことができる。

(街並み景観審議会)

第10条 町長の附属機関として、金山町街並み景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、この条例に定めるもののほか町長の諮問に応じ、街並み景観の形成に関する基本的な事項又は重要事項を調査審議するものとする。

3 審議会は、街並み景観の形成に関する事項について、町長に意見を述べることができる。

4 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(援助等)

第11条 町長は、街並み景観の形成のために必要な行為をしようと認める者に対し、技術援助を行い、又はその行為に要する経費の一部を助成し、若しくは融資することができる。

(規則への委任)

第12条 この条例において、別に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、公布の日から3月を超えない範囲内において、規則で定める日から施行する。

(昭和61年規則第9号で昭和61年6月10日から施行し、昭和61年4月1日から適用)

(平成24年6月13日条例第12号)

この条例は、公布の日から施行する。

金山町の風景と調和した街並み景観条例

昭和61年3月18日 条例第2号

(平成24年6月13日施行)